A. 安倍政権が公的年金の積立金約130兆円の50%以上をリスクの高い株式市場に投じようとしている。 運用を担当するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の現在の基本資産構成は国債60%・日本株12%・外国 株12%・外国債11%。 それを日本株25%・外国株25%・外国債15%まで上げ、国債は35%まで下げることを先月 末にGPIFが発表した。 しかも日本株の許容範囲は±9%、外国株±8%であり、最大で67%までの株式運用が可能となり、金額にして 50%は65兆円、67%だと87兆円にもなると言う。
積立金の中身は基礎年金と報酬比例年金であり、会社と従業員が拠出する年金保険料が財源で、損失が発生した ら将来世代の年金カットにつながりかねない事になり、その比率は分散投資の域を超えていると言わざるを得ない。
積立金の運用は、長期的観点から、安全かつ効率的に行うとされている。 故に安全資産である国債比率を60%にし ている。にもかかわらず、なぜリスクの高い運用比率の見直しを行ったのか。 その狙いは、年金資産の拡大と同時に 株式投資による日本経済の活性化という成長戦略の実現にあるとされる。
B. 事の発端は、昨年年6月に閣議決定された日本再興戦略。 その中で公的資金の運用(分散投資の促進等)リスク 管理体制等が株式への長期投資におけるリターン向上を目的に有識者会議で検討することが明記された。 これを受けて例の如く「公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議」が発足したが、 このメンバーには年金の専門家は一人もいなく、積極運用派の学者や民間の金融専門家で占められたと言われる。
運用見直しの理由として-「被保険者の利益を優先する資金運用は、結果的に、日本経済に貢献することになり、 各資金は、資金運用により経済成長の果実を享受する事にもなるから、資金運用と経済成長との好循環が期待され る」とバラ色のシナリオを描いている。資産拡大と経済成長の二兎を追う作戦だが、果たしてそんなにうまくいくの だろうか? 巨額すぎる投資は、株価が上がっても売るに売れない事態だって想定される。
株式比率は分散投資の域を超えていると言う識者の指摘もあり、損失が発生したら受給者の給付カットと現役世代 の保険料値上げ、更に将来世代の年金カットに直結する事となる。 計画はバラ色のシナリオをいっぱいに描いている。 市場心理は振り子の様なものであり、どんな専門家でも的確な 予測は不能と言われており、いわば市場の常識。 結果が出なければまたまた途方もない課題が噴出する。 何か見える様である。
C. そもそも年金資産は市場運用にさらす性質の資金ではない、給付を確実に実施するのが大前提だ。それを経済成 長に使うこと自体が法を逸脱している。 国会で審議承認も得ず厚労省が勝手に運用判断するのは、どの角度から みてもおかしい。ネット上や経済専門誌等には、有識者会議の報告書に批判的な意見が多々ある。 諸外国の 事例も含めてこれ等多方面からの指摘を検索してほしい。
私の脳裏には、過去の「年金資金の無駄遣い」の数々がよみがえります。 大騒ぎした平成16年のグリーンピア事業等、カワグチ技研を巡る汚職、更には官僚の事務費の無駄遣い等々、 呆れ果てる様々な資金流用。 責任の処分はあっても末端であり、上層部はノータッチ。 いやはやである。 更にさらに、来年10月から厚生年金と官僚等公務員の共済年金は一元化され、制度の基本は同じとなるが運用は 別で、共済年金は独自運用となる様で今回の株等運用の対象となっておらず、日本株での現行運用は8%でしか ない。 何か透けて見える様である。 2014/26.11.11 - 佐倉//塙 - - |
株の売買は危険だからです。
カナダの年金資金17兆円をマネージしているのは1000名
ものスタッフです。
日本は130兆円と言う巨額な年金資金をたった81名の
スタッフで、またその中のたった8名の幹部でマネージする
という。
結局は民間の企業に丸投げ?
どこの会社の株を購入するかを民間会社に決定権を委託?
これってインサイダーになりかねなく、不公平は話では
ないでしょうか?
何故この国の学者、ジャーナリストはこの状況を放置
しているのでしょうか?
長谷部