我が国のODA考 ---ひまわり画像の例---
井上 雅之
2014年10月7日、気象衛星ひまわり8号の打ち上げに成功したというニュースに接しました。 その時とっさに、以下のようなことを思い浮かべました。
ひまわり画像は、わが国だけでなく、東南アジアや南太平洋の諸国の天気予報にとって不可欠な情報を提供しています。 しかし、気象関係者以外の諸国民には、ひまわり画像が日本から無償で提供されていることなど殆ど知らされていないのです。
ひまわり画像は、気象局の天気予報業務の中で最も有効なデータのひとつとなっているだけでなく、新聞やTVにも頻繁に掲載・利用され、一般の人がいつも目にする、無くてはならないものになっております。 にもかかわらず、どこを見ても、それが日本から提供されているという文言はなく、日本からの提供と分かるマークや国旗もないのです。
しかも、ひまわり画像が日本から諸国への贈り物だということが周知徹底されていないことを、日本の関係者の誰からもおかしいとの声が上がらないのです。 日本の税金を使って、日本ODA(政府開発援助)の一環として提供されているひまわり画像が、提供先の国民には、日本国民提供であると周知徹底されていないことを、我が国の高給取りの外務省役人は全く気にも留めていませんし、周知していただく努力を払うわけでもないのです。
翻って、仮にひまわり画像が欧米の国からの提供だとしたらどうなるでしょうか。 その場合には、ひまわり画像は必ずや有料として提供されることと思います。 なぜならば、欧米の国から途上国に提供されている衛星データはたくさんありますが、無償で提供されている衛星データなど皆無だからです。
日本は何とありがたい国でしょう。無償で提供してくれるだけでなく、日本国から提供を受けていると告知する義務すらないのですから。 しかも、そのことを問題だという認識すら日本側には欠如しているのですから、楽なものです。
ひまわり画像からは、日本ODAは大甘であることが見て取れるだけでなく、日本国民に対する外務省・大使館の職務怠慢でもあるのです。 真面目に仕事をしたらどうか、外務官僚よ!
ひまわり画像の例は、例外などではなく、日本ODAの多くが似たりよったりの問題を抱えていると考えます。 ODAにも、日本の深刻な問題の一端があると考えますので、そのような問題点を言及していくことにします。