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2015/05/09

「緊急鼎談 樋口陽一、小林 節、小沢一郎 憲法を語る」に参加して

Tweet ThisSend to Facebook | by:olc_admin

過日(4月20日)、表題のイベントが憲政記念館で行われました。オリーブ千葉も裏方としてお手伝いしましたので、

参加した感想などを述べてみたいと思います。

 と言っても、鼎談された樋口・小林両先生は憲法学の大家であり、小沢議員も政治家として憲法に深い見識を持たれている方で す。

 鼎談で語られた言葉はどれも重く、私のような弱輩者が要約できるものではありません。

鼎談の模様は以下で視聴することができますので、ぜひご覧ください。

http://youtu.be/0kd7jMVpdDE

https://www.youtube.com/watch?v=d6PzKinupYo

ということで、ここでは、鼎談で学んだことをベースに拙い感想を述べることをお許しください。

 

1.憲法とは何かを学ぶことの大切さ

第一に思うことは、憲法とは何かを私たち国民が学ぶことがいかに大切かということです。

憲法が法律の上位に位置する最高法規であることは誰でも知っていると思います。しかし、

憲法とは「国民が幸福になるために国家権力を管理するマニュアル」であることを知っている人はどれくらいいるでしょうか。

民主主義(人民の支配=選挙・政治)と立憲主義(法の支配=裁判の独立)との対話が重要であることを学ぶことで、

安倍政権が実現に突き進む憲法改正の自民党草案とは、そもそも憲法の名に値しない大変危険なものであることが理解できると思います。

現在の日本国憲法の3大原則「国民主権、基本的人権の尊重、平和主義」は、幸福の要素(自由、豊か、平和)と密接に結びついており、

押し付け憲法という批判に対しては「誰に対しての押しつけか?」ということを考える必要があるということです。

実際、ポツダム宣言(民主化・人権尊重・軍国主義の除去を約束)を受諾した流れでできた日本国憲法は、GHQの押し付けであることは事実です。

当時の日本の支配層が押し付けられたと感じるのは当然ですが、一般国民は「これで新しい日本ができる」と希望を持ったのではないでしょうか。

そうして国民が受け入れ、平和日本を支えてきた70年の歴史があるわけです。

生活とは疎遠のように思われがちな憲法ですが、実は私たちの生活の底辺を支えているのです。

自民党の憲法改正草案を注意深く読んでみてください。そして現行憲法と比べてみてください。

http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-109.pdf

  小林先生は「自民党案は、憲法とは何かを理解していないど素人の怠慢である」と断言していましたが、

 『国家あっての国民』という立場に貫かれた自民党の憲法草案は、現行憲法のアイデンティティーを否定するものであり、

  もはや改正ではなく新憲法制定に相当する反動的な内容であることが解ると思います。

  樋口先生は、3大原則の中でも特に「基本的人権の尊重」が重要と仰っていましたが、ナチスの例を見ればそのことが納得できます。

  ナチスも国民主権の中から生まれたのですから。安倍政権の現状を見るにつけ、

  ナチスの歴史や日本が戦争に至った歴史を学ぶことは大変重要であると思います。

 

2.安倍政権の言葉の裏に潜む意図を見破る意識が大切

次に、小沢議員が言っていたことですが、安倍首相の発する言葉そのものは口当たりのよいものですが、

言葉の背景や実際の行動の中身は民主主義に反する反動的なものであるということ、すなわち、言葉で国民をごまかし、

中身を隠しながら自分の意図(戦前の列強大国への復活?)を達成しようとするのが安倍政治だということです。

例えば、自民党憲法草案には「国、郷土、ふるさと」という概念が出てきます。それ自体は悪いものではありませんが、

個人の尊厳という憲法の基本から見た時、このような概念を出してくる背景や異様さが感じ取れると思います。

「自由と民主主義、人権、法の支配といった価値観は変わらない」とする言葉とは裏腹に、

「公益や公の秩序」(公共の福祉ではないことも注意)を盾に自由や人権を制限する安倍政権の意図を見破ることができます。

(各条文に制限がある中、22条だけ制限を排しているのは、新自由主義の競争経済社会是認への布石)

安全保障関連も同様です。「積極的平和主義」というソフトな言葉で、現憲法を無視するかのように、

自衛隊が際限なく海外の軍事行動に参戦する道を開こうとしています。

集団的自衛権の解釈改憲のみならず、個別的自衛権の拡大解釈は日本独自で際限なく広げることができることから大変危険です。

今通常国会での成立を狙う安保関連の法案を「戦争法案」と社民党議員が呼んだことに対して、

レッテル貼りだとして議事録からの削除を求めましたが、これもごまかしを指摘されたことに対する逆ギレであり後ろめたさの現れです。

近年は反知性主義の時代だという指摘がありますが、なるほど安倍首相は時代の流れをうまく利用しているのかもしれません。

しかし、政治に対する深い洞察は私たちの生活を守る上でとても大切だと思います。

安倍政治の嘘を見抜き、生活を守る行動を起こすことが必要と思います。

樋口先生から「人民読本」(著:竹腰與三郎、初版1901年)の紹介がありました。明治大正期において

、既に基本的人権尊重の概念があったこと、権力が押し付けてくる「愛国心」「忠義」の欺瞞性、

更には大衆が押し付けに加担することに対する警告が語られていることを知り、

いわゆるヘイトスピーチに代表されるネトウヨが拡大する不健康な現代社会の病巣がかなり深刻であることを突き付けられた思いです。

進行役の堀茂樹さんが最後に「反近代・反ヒューマニズム・反普遍のイデオロギーがあり、

自民党憲法草案への改訂を本気でやろうとしている」と指摘されましたが、反知性主義に流され、

安倍政治の欺瞞を受け入れてしまうことは、私たち国民自身の生活を破壊することに通じます。

実際、国民自身が選挙を通じて安倍政権を選択したのであり、今も高い支持率が続いています。

しかし、こうした政治が行き着く先は何なのか。問われているのは、観客的に政治を傍観している私たち国民自身なのだと思います。

                                                                                  (オリーブ千葉会員:陣内 隆之)

 


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